工数70%削減を実現
設計プロセス改革と定着に「プロフェッショナルエンジニアリングサービス」を活用
情報・環境・エネルギー等の社会インフラ分野を担う富士電機システムズ株式会社は、現在、製品の更なるQCD向上を目指し、3次元設計手法の確立や、その運用のための環境整備を実施することで、設計業務の効率化・標準化に取り組んでいる。この活動において、プロジェクト構想の検討と、新しい仕組みの運用定着に、プログレス・テクノロジーズ(以下「P.T.」)の「プロフェッショナル・エンジニアリング・サービス」をご活用いただいた。

情報制御から発変電までシステムを幅広く提供している富士電機システムズ。川崎工場は、その一翼を担う発電設備の生産拠点だ。主要製品は、火力発電設備、水力発電設備、原子力関連機器、産業用電動機・発動機、トンネル用集じん機設備などである。
ここ数年、中国では経済・産業の急成長により電力需要が増加し、火力発電プラントの建設が続いた。これに伴い蒸気タービンの需要が急増したが、最近は一段落した感があり、市場での競争が今後ますます激しくなることが予想される。富士電機システムズが他社と戦い勝ち抜くためにはQCDの更なる向上が必要である。
川崎工場では以前より生産性向上(LT30)に取り組んでいるが、こうした環境のもと、次のステップとして、旧来の業務プロセスの大胆な見直しと、それを支える設計・製造システムの新たな構築が必須であり、そのための設計情報の3次元化と製造側を含めた情報共有化・効率的運用が急務となっている。
そこで、まずは設計部門の「3次元設計環境の基盤構築の推進組織」として、2005年10月に「3次元CAD推進プロジェクト」を設計部門内に発足した。

富士電機システムズでは、今回のプロジェクトを立ち上げる以前から、3次元CADを導入していた。しかし、導入後社内インフラが整わなかったために定着が進まず、主に解析業務に使用するのみにとどまっていた。
「3次元設計のためには、標準部品のライブラリ化や図面フォーマットといった『設計環境』の事前整備が重要だが、多忙な設計者が実務を抱えながらこの作業を推進することは荷が重かった。3次元CADの普及促進にはどうしても専任の支援体制が必要になるが、当時は社内の理解を得られなかった為に、なかなか前に進められなかった。」(プロジェクトリーダーの森田主任)
こうした過去の経験を踏まえ、今回は専任の推進組織を整えた。このメンバーが3次元CADによる成果物(モデル、図面)を作成、提示することで、設計者の認識を変え、かつ、設計負荷の低減と工数削減効果へのイメージを持たせることを目指し、大きく3つの施策を立て実行に移した。
取り組みとして最初に着手したのは「3次元CAD設計環境の構築」だ。単位系やスタートパーツの設定、図面出力などの周辺機器との連携等の初期システム環境設定をはじめ、自社開発の出図・生産システムと連携したBOM(部品情報)属性を組み込んだ各種図面フォーマットを構築した。作成したデータベース運用のためには、部品の命名規則をはじめ、その管理・運用ルール規定をしっかりと決める必要がある。「設計者のシステムに対する信頼を裏切ることのないようにすることに気を使った」(森田主任) 設計者はシステム設定の不具合により業務が一時的に滞ると、『こんなCADは使えない』とすぐにソッポを向いてしまうためである。
二つめの施策は、「3次元設計手法の開発」だ。蒸気タービンの部品は複雑な3次元曲面からなるブレード及び鋳物構造物の高中圧ケーシング等、鋼板溶接品の低圧ケーシング等、多数の構成部品から成る大型アセンブリ製品であり、そのモデリング手法は対象構造によって大きく異なる。そこで、各構造物や形状毎に最適な設計手法を確立すると共に、将来的な流用設計を可能とするモデリング手順・手法の構築に取組んだ。「蒸気タービンの3次元化で最も効果のある部品は、3次元曲面を有し且つその都度設計を図るブレードと、ある程度の標準化が可能となるケーシングとロータ類」だと森田主任は言う。
三つめの施策は、「標準部品及びモデルテンプレートの蓄積」だ。作業効率化のために、利用頻度の高いボルト・ナット類の一般規格品や標準部品、各種図面シンボル記号等を順次ライブラリ化した。また、3Dモデルと2D展開図面をひも付きにしたモデルテンプレートの蓄積を図った。雛型となるテンプレートモデルを用意することで、3次元CADの敷居を下げると共に、設計者の負荷を軽減することで、普及促進を図るためである。
なお、こうしたプロジェクトの活動状況や、活動を通して作成したマニュアル、成果物等については、社内ホームページを開設し、3次元情報の共有化を図っている。
こうした活動の中で、最も苦労したのが「設計プロセスの改革」だと森田主任は言う。
「3次元CADは単に設計ツールとして導入しただけでは意味が無く、設計プロセスを変えることで効果が上がる。例えば、ブレードは、従来は製造部門にてNCデータ作成用の3次元モデルを作成していた。しかし、ブレードは複雑な3次元曲面からなるため、製作図面からその寸法形状を読み取り、3次元化するためには多大な労力を要していた。また、2次元図面では表現が困難な個所については製造部門サイドにて作り込んでいく必要があった。設計部門における3次元化は、ある意味で “ものづくりの要素”を取り込むことになり負荷の増大に繋がるため、設計者の抵抗は大きかった。
そこで、設計側の上流プログラムを改良し、パラメトリック設計データを作成する機能を追加した。このデータを利用して3次元ソリッドモデル及び2次元展開図を自動生成するテンプレートモデルを構築した。
これにより、作図時間を従来の2次元CADに対して大幅に低減させた(約70%減)。また、作成した3次元データは設計データ管理システムにて管理・運用することで、製造側と3次元データの共有化を図れる環境とした。
設計プロセスの変革には、3次元設計は設計の業務負荷増大になるという設計者の認識を変え、設計部門と活用する側の製造部門の双方で工数削減効果の実感を持たせることが大切であり、その為には、設計の初期段階から3Dモデリングを可能とさせるような標準化と自動化が鍵となる。
今回のプロジェクトにおいて、P.T.は、3次元設計環境を構築するためのコンサルティングと、構築した仕組みを実業務へ定着させる活動の支援を行った。
プロジェクトの初期段階では、3次元設計の経験を積んだコンサルタントが「業務にどう使えば効果が上げられるか」をプロジェクトメンバーと共に検討を重ね、そのために必要な設計環境を提案した。「CADベンダーやシステムインテグレーターでは出来ない、現場に入って我々と共に実業務を行いながら『我々にとって一番良いものは何か』を考え、提案してくれた。」と森田主任は言う。
施策の実行段階からは、P.T.のエンジニアが一設計者として現場に入り、今回の活動で重要となる、標準部品のライブラリ化や図面フォーマット、モデルテンプレートなどの『設計環境』の整備と、新しい設計環境での業務支援を行った。どんなに良い仕組みでも、新しいものは「使い方がわからない」「慣れるのが大変」と敬遠されがちなところを、こうした支援を行うことで実務への定着に繋げている。
プロジェクトで構築した仕組みは2006年10月から実業務での使用が開始され、現在では業務への定着も徐々に浸透している。「ようやく設計情報の3次元化の効果が社内でも注目されるようになってきた。P.T.の支援が無く自分たちだけで進めていたら、プロジェクト活動は途中で暗礁に乗り上げていたかもしれない。」と森田主任は振り返る。

定着活動のために入ったP.T.のエンジニアは、現在でも継続して業務支援を行っている。彼らは、日々の設計業務を行う中で新たに課題を見つけ、自分たちで出来る分は解決し、内容によっては担当のコンサルタントにフィードバックして解決策を提案する。ここまでがP.T.の提供するサービスだ。
「プロジェクトが一段落した後でも継続して支援してもらえるのは、他には無い、独自のサービス。また、現場に入り込んで業務を理解したうえで、第三者の視点での意見をもらえるので、最近では自社の設計者が、P.T.から来ているメンバーの意見を聞きたがることがある。」(森田主任)

富士電機システムズのプロジェクトは、「現在は基本環境が整った段階」だと森田主任は評する。今後、3次元CADを導入した本来の目的である『ものづくりに活かす』活動に取り組んでいく。具体的には、設計・製造連携によるCAD/CAM/CATの実現と、3次元情報を核に、ITを活用した設計情報のデジタル化と下流部門を含めた情報共有・効率的運用を可能とする支援システムの構築により、川崎工場の生産性と製品品質を飛躍的に向上させることを実現したいと考えている。
「プログレス・テクノロジーズには、若き力と斬新なアイディアがあります。弊社の3次元化の波がより大きな波(BigWave)となるよう、今後もよろしくお願いします。」(森田主任)

| 所在地 | 川崎市田辺新田1番1号(〒210-9530) |
|---|---|
| 地区従業員数 | 1,155名 (関連会社、共通サービス会社含む) |
| 主要製品 | 火力発電設備、水力発電設備、原子力関連機器、産業用電動機・発動機、トンネル用集じん機設備等 |
| URL | http://www.fesys.co.jp/index.html |